業務委託契約には、大きく分けて「請負」と「委任」の2つの形態がある。

請負とは、特定の仕事を完成させることを目的とする契約形態だ。建築工事やソフトウェア開発など、具体的な成果物が求められる仕事に適しており、成果物が完成した時点で報酬が支払われる。仕事の過程や手段については、基本的に発注元の裁量に任されるが、納期や品質に関しては受注者が責任を負う。請負契約の特徴の一つは、成果物が完成しなかった場合には報酬が支払われない可能性があることだ。これは、成果物の完成が報酬支払いの条件となるためである。

一方、委任は特定の仕事を遂行することを依頼する契約形態だが、必ずしも成果物の完成が求められるわけではない。法律相談や顧問業務といったアドバイザリー業務など、成果が明確に形にならない場合に向いている。委任契約では結果の責任を負わないため、仕事のプロセスが重要視されるのだ。報酬は業務の遂行具合に応じて支払われることが多く、業務が途中で中断してもそれまでに行った業務に対する報酬が支払われる。

請負と委任の違いとして、成果物の有無と責任の所在が挙げられるだろう。請負は成果物が要求され、その完成が報酬の基準となるが、委任は成果物を必要とせずプロセスが重視される。責任の所在についても、請負の場合は請負者が成果物の責任を負うのに対し、委任では業務の遂行そのものが求められるため、結果に対する責任はそれほどない。